中退=悪ではないけど、中退しなくてもよかったよね、という人を減らしたい@大学(仮)

NPOスタッフとして、大学・専門学校における中退問題に取り組んでいます。日本中退予防研究所の中の人です。たまに育児のことも。

人材マネジメント入門(守島基博先生) 講義編

本日は慶應MCC「ラーニングイノベーション論」。

昨日ご紹介した守島基博先生の人材マネジメント入門の講義でした。

守島先生はこちら

 

人材マネジメントには

 ・経営視点

 ・人視点

という二点が必要であること

(個人のパフォーマンスの最大化のためには、

 個人に寄り添ったモチベーションの対応までしないとね)

 

以下の二つの目的は、フェーズによって相反するときもあるが

ふりこのようにいったりきたりするものである。

 ・短期的な戦略達成のための人材マネジメント

 ・中長期的な組織力強化のための人材マネジメント

 

社長交代など戦略の変化、社会情勢等の環境の変化が急に起こった場合、

人を「替える(replace)」ではなく「変える(change)」ことが必要

これには、組織を好きになってもらい、

「この会社のためなら変わってもいい!」と構成員に思ってもらうこと。

 ←個の尊重、理念の浸透が手段になりうる

 

****

 

大学組織と企業組織との違い

企業は、管理機能を本社が吸い取っていた時代があり

今は現場にリバースする時期だという話がありました。

一方、大学は、学長のトップダウンが推し進められているものの

まだまだ学部(=教授会)が強い。

そこには、人材マネジメントという概念の意識がほぼないので、

一度学長(大学全体)が権限を吸い取って

立て直す必要があるということでした。

 

別の文脈で、

採用活動のあと、採用した人材を5年後10年後にトレースし

リフレクションする機会がないのではないか、という話題になりました。

採用しっぱなしで、その採用が成功したかどうかを評価できていないのです。

アメリカでは、アセスメントセンターというのがあり、

専門の会社に依頼して、一人何十万もかけてトレースするそうです。

 

日本の場合、大学のIRが似たようなことをやっていますね。

合格させた学生が、どういう成績をとり、どういうところに就職していくのか

”IR”という枠でトレースしています。

 

*****

 

講義はこんな感じでした。

明日にはリフレクション出すぞ。

 

 

 

 

人材マネジメント入門(守島基博先生) その1

慶應義塾大学の社会人向けスクールである

慶應丸の内シティキャンパス(通称MCC)の一講座である

ラーニングイノベーション論に通っています。

www.keiomcc.com

 

(このリンク、来年には切れちゃうかもしれない・・・昨年のはもう切れてる)

参加者は、企業の人材育成担当者が6~7割、

人材コンサル・講師系の方々が2~3割、

私みたいなイレギュラーが1割、といったところ。

 

いやー、えぐいですね。

 昨年通った青学のWSDもそうだったけど

wsd.irc.aoyama.ac.jp

予習復習が重いのと、期間が長いのは、本当にえぐい。

明日は17:30~21:30までです。

 

ラーニングイノベーション論自体の話は別ページとして、

(中原先生はほんとにおもしろい)

今日は明日の課題図書の紹介。

著者は明日の研修の講師でもある守島先生です。

 

人材マネジメント入門

守島基博著

日本経済新聞社

2004年

 

まだ途中までしか読んでないので・・・

二章までのサマリです。

 

<第一章>人材マネジメントとは

・日本の人事部の仕事の遷移

 労務管理→人的資源管理→人材マネジメントへ

・人材マネジメントを一言で言うと、

 ”人を元気付け、会社の戦略を達成し、次の戦略を生み出す人材を提供する”

・人材マネジメントは、経営的・人的、両側面から見る必要がある

・何をするのか、できるのかではなく、どういう価値や結果を生み出すのか

・人材マネジメントの中身は、

 1)パフォーマンス・マネジメント(PLみたいな)

 2)育成(研修とか)

  ・・・必ずしも前の立場での成功は必要としない。

   必要な経験をプロデュースするのが仕事。

 3)評価

  ・・・プロセスを説明し、次のチャンスを狙えるように支援すること

 4)キャリア開発(コーチングみたいな)

  ・・・主語はあくまで”働く人”のほう。キャリアマネージの支援をするのが仕事。

という理解。

 

<第二章>人材獲得について

・必要とする人材スペックの明確化

 1.コンピテンシー

 2.雇用形態(その仕事に必要?企業に必要?)

 3.組織の価値観や風土の共有

  →より自律的な働き方・個人の最良が大きい場合に必要

 4.組織の変革に対応する力(メタコンピテンシー)

 5.異端児性

あと、採用プロセスの話は、特に印象に残らなかったので割愛・・・

 

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第二章の人材獲得にあった、人材スペックについては、

弊会(NEWVERY)の場合、3が大きいのかなと思っています。

NEWVERYには説明できない風土というか文化が合って、

それに適応できるかというのは、

会って話してみないとわからない部分が大きいなと思っています。

いや、明文化しないといけないのはわかるんだけどね・・・

2はいちばん最後ですね。

お互いのパフォーマンスが最大化するならば、

フェローやプロボノなど、仕事する形態はいろいろ考えられるので。

 

**ココマデ

 

学生時代、研修の会社でインターンしてたり

教免とったりしていたので、

漠然と人事って言う仕事に興味を持っていたのですが、

やっぱりそうなんだなと再認識した本でした。

1のパフォーマンスマネジメント、2の育成、

3の評価、4のキャリア開発。

全部好き!

現状だと、企業の人事部というキャリアは考えていないけど、

大学の人事部だったらなってみたいなぁ。

 

後半はまたいつか。

 

文部科学省が大学の経営人材育成に本腰

今日は大学ジャーナルから。

文科省が大学のイノベーション人材育成に、本格的に乗り出したというお話です。

経営と言っても、産学連携がテーマですね。

三年間どんなプログラムなんだろう。

数名を選抜するってどんな基準で?

中退予防テーマで、一コマくらいNewveryに持たせてくれないかな。



univ-journal.jp

 

さておき。

ポイントはいくつかあると思うのですが

 

実務にどれだけ根差しているか?

東大の大学経営・政策コースで話題になるのは、「アカデミックなの?実務者養成なの?」という点。

私はひとつの授業しか受けてないのですが、果てしなくアカデミック寄りの印象です。それはそれで勉強になるから、受けてよかったと思ってます。

でもイノベーションには遠回りですね。

大学改革って言えば聞こえはいいですけど、現場は本当に泥臭いですし。。

そういえば、今回の名前を「改革」ではなく「イノベーションとしたのは、どんな理由があるのでしょう?

アウトプット前提の育成プログラムになっているか?

企業の人材育成の場面で問題になるのが、

「これだけ研修してるのに、現場は変わらない」

それは、アウトプットの保証を、研修実施側がしていない。言い換えると、評価を含めてアウトプットの仕組みができてないことが問題。

研修やりっぱなしになってるんですね。

そこをこの育成プログラムがどう仕組化するかが気になります。

 

各大学の状況をどこまで配慮するか?

➡首都圏、地方、国公立、私立と、全然バラバラな大学が全てのプログラムを同じように受けるって、無理がありますよね。

ある程度同じインプットを受けるのは仕方ないですし、違いを知ることで気づくこともあるので、全部を全部別にしたほうがいいとは思わないのですが、

上記のアウトプットの保証になると、ある程度のグループ分けや、個別フォローみたいなことも必要になってくるのではと思います。

中退率がものすごい高い大学とそうじゃない大学は、やることも悩みも違うしね。。

数名を選抜っていうところで、ある程度均質性を持たせるのかな?

逆にバラバラにして、今後のモデル校を作るのかな?


これに当たった人、これを受けてる三年間と、修了後の数年間、超絶忙しいんだろうな。。アウトプットも求められるだろうし。。

なんて、当たりそうな人の顔を思い浮かべて、健康と行く末を案じるのでした。

アメリカの大学評価に関するケーススタディ ーサンフランシスコ市立カレッジと地域別アクレディテーション

 

今日は東大大学経営・政策コース科目等履修の大学経営政策各論(3)の9回目の授業。

ump.p.u-tokyo.ac.jp

 



なんと折返し!!!福留先生のアメリカの全4回の授業も今日で最終回です。

残りは、韓国を学ぶ予定。今日のテーマはこちら。

 

アメリカの大学評価に関するケーススタディ

ーサンフランシスコ市立カレッジと地域別アクレディテーション

 

アメリカと日本の大学制度の大きな違いは、民間の評価団体「アクレディティテーション団体」があること。

 

連邦政府の連邦教育省が、地域別アクレディテーション団体を認証(recognization)し、

アクレディテーション団体が、高等教育機関を評価・改善支援(accreditation)し、

その結果を受けて、連邦教育省(国)から、財政支援を行っています。

 

アメリカは、大学の設置自体は州政府が行っていますが、

日本のように設置基準自体は厳しいものではなく

むしろ設置後のアクレディテーションが重視されているのも、付随する特徴です。

 

アクレディテーションは、

民間による大学の監視がことの起こりなのですが、

連邦の資金援助が高等教育にとって重要性を増すなかで、

連邦政府がその仕組みを活用して、アカウンタビリティを確保していきました。

 

今回のケースは、

カリフォルニア州にあるサンフランシスコ市立カレッジ(CCSF)が

西部地区基準協会短期大学アクレディテーション委員会(ACCJC)に

「理由呈示命令」(show cause)という最も厳しい評価を受けたことに始まり

その結果に納得できずに裁判を起こしたという話です。

 

ここには

・財政問題がガバナンス問題に指摘が移行

・ACCJCは他のアクレディテーション団体よりも厳しいことで有名

(ACCJCは制裁率は約53%、他の地域のアクレディテーション団体は約12%)

・2008年のリーマンショック以降、カリフォルニア州の財政は厳しい状況にある

カリフォルニア州は、他の地域よりもシェアドガバナンスの傾向が強い

などなど、様々なレベルの、しかし根は繋がっている問題があります。

 

結論としては、国全体としてのアクレディテーションの監査・基準統一が不十分ということが、いちばん大きな問題だと思いました。

もちろん、アクレディテーション団体をまとめる組織もあるのですが(CHEA)、

そこがよく機能していないようです・・・

(授業の内容を全部は書ききれなくてすみません)

 

感想

1.大学には、大学経営の専門家がいないことが大きな問題

アクレディテーション団体から指摘を受けても

それをガバナンスとかなにやらいろんな問題があるなかで、

期限を決めて、どんな優先順位で、どう進めていくかってそりゃ決められないです。

日本もそれは同じ、むしろアクレディテーションのような中間組織がアメリカほど発展していない分、もっとしんどいと思いました。

東大の大学・経営政策コースのような機関の存在意義も、改めて実感しました。

もっとアカデミック寄りがいいのか?実務寄りがいいのか?という問いには、まだ答えられないのですが・・・

 

2.日本の認証評価制度の見直し

グループディスカッションの中で、

日本は認証評価を受けて、改善活動をしてできなかったとしても、

作文でなんとかなってしまうんだよね~というコメントが出ました。

確かに!!!

それに対して、「今はね」と、先生。

今後、教育の質保証や三つのポリシーが強化されていくなかで、

その点についても厳しくなっていくのかもしれません。

 

今日はここまで。

アメリカの大学制度については、かなり興味深いので、

また残りの回についてもそのうちまとめたいと思います。

 

月曜日までのレポート2本、ほぼ手付かず・・これは徹夜コースでしょうか。

でも来週の土曜日は休み!息子とたくさん遊ぼう!!!